あれこれミニストーリー

いままでホームページでご紹介できなかった、こんな展示や製品のあんな話などについて、スタッフがお伝えする『あれこれミニストーリー』 お気軽にご覧ください。

東芝未来科学館のバーチャルツアー

ふだん館内のご案内をしている私たち東芝未来科学館スタッフ。実は館の外にも見てほしい7つの場所があるんですよ。ラゾーナ(ラゾーナ川崎プラザ)のまわりをゆ~っくりまわって30~40分。さぁ、これから「七福神(?)巡り」に出発です!

イラストマップ by スタッフR.O

イラストマップ by スタッフR.O

はじめに

東京電気・川崎工場
川崎駅前

ラゾーナができるまえ、ここは東芝・堀川町工場だったんです。この工場からは電球、真空管、半導体などのさまざまな新製品、新技術が世の中に送りだされました。世界に誇る東芝の主力工場がここにあったんですよ。
工場ができた1908年は東京電気・川崎工場とよばれていました。東京電気は1939年に芝浦製作所と合併し、東京芝浦電気(現・東芝)になったんです。

「東芝ブラウン管発祥の地」記念碑と工場跡
(ラゾーナの西側、駐輪場横の小道)

「東芝ブラウン管発祥の地」記念碑_1 「東芝ブラウン管発祥の地」記念碑_1
「東芝ブラウン管発祥の地」記念碑_2
「東芝ブラウン管発祥の地」記念碑_3 「東芝ブラウン管発祥の地」記念碑_3

昭和から続くお茶の間の主役テレビ。その心臓部であるブラウン管を生み出したのがこの工場です。記念碑の横には、ピラミッド型をした工場の基部が残されています。とても地味なので見逃さないでくださいね。ゴツゴツしたレンガに明治から続く歴史を感じます。

女躰神社にょたいじんじゃ
(記念碑の小道をぬけてまっすぐ)

女躰神社_1 女躰神社_1
女躰神社_2
女躰神社_3

大昔に大洪水があった時「水神の怒りを静めるために水中に身を投げた女性」を祀った女躰神社。科学館スタッフルームの神棚はこの神社のもの。当館で七夕イベントを開催した時は、みなさんの大切な願いごとの短冊を、この神社でお焚き上げしていただいたんですよ。

③ 工場時代から残る桜の木
(ラゾーナの北側、女躰神社のはすむかい)

桜の木_1
桜の木_2
桜の木_3

日本人が大好きな桜。花が咲くころになると、東芝の各工場でもお花見が楽しまれていたんです。嬉しいことも、悲しいことも、工場のあゆみをずっと見守ってきた大切な1本。根本の台座に工場のでき事が70項目も刻まれているので読んでみてくださいね。

四季の川
(桜からラゾーナへと続く「四季の道」のなか)

四季の川_1
四季の川_2
四季の川_3

「四季の川」には「工場の歴史の分だけの年月日が書かれたタイル」が貼りつめられています。その中の白いタイルは、工場のさまざまな記念日を表したもの。その数の多さに歴史を感じながら、そのままラゾーナのルーファ広場へ向かいます。

⑤ ラゾーナ出雲神社
(ラゾーナの4階、ルーファ広場に面した屋外スペース)

出雲大社_1
出雲大社_2 出雲大社_2
出雲大社_3 出雲大社_3

よろずの神さまたちが大活躍する神話の舞台、島根県の出雲大社。「縁結び」でも親しまれるこの神社を、実は島根まで行かずにお参りできるんです。これは出雲大社から東芝の工場へ分祀され、長く工場の守り神だったもの。知る人ぞ知るパワースポットなんですよ。

⑥ 工場で使われていた消火用ポンプ
(ルーファ広場から西側へむかう道の左側)

消火用ポンプ_1
消火用ポンプ_2 消火用ポンプ_2
消火用ポンプ_3 消火用ポンプ_3

1916年に導入された当時最新式の消火ポンプ。そのあと80年以上も働いた工場の守り手です。新しいものを取り入れ、生み出してきた工場らしい思い出の設備。でも見た目は、まるでミニ機関車か近代アートのオブジェです。危ないから登らないでくださいね。

エジソンゆかりの竹
(ポンプの先を左折、東芝未来科学館のすぐ前)

エジソンゆかりの竹_1
エジソンゆかりの竹_2 エジソンゆかりの竹_2
エジソンゆかりの竹_3

世界で初めて電球を実用化したのはエジソン、日本で初めて国産化したのが東芝。エジソンが光る部分に使ったのは、なんと京都・石清水八幡宮の竹。それを移植したのがここです。しなやかで強い竹。これが光ったのですから、まるで「かぐや姫」のお話みたいですね。

川崎ビル
館内ヒストリゾーン

さて、ここまでご案内してきた7つのスポット。これらにかかわりの深い製品たちが、東芝未来科学館に展示されています。ここは「日本の電気産業の歴史」がわかる場所。日本のモノづくりのロマンにひたりつつ、明るい未来にむけた東芝の取り組みもご覧になっていってくださいね!(スタッフN.K)

懐かしい?知らない?暖房器のはなし

3月に入り段々と暖かくなってきましたが、まだ寒い日もあるこの時期、今回はかつて東芝が販売していた暖房器をご紹介しましょう。

総合暖房器カタログ表
総合暖房器カタログ裏

今から60年以上前、1958 (昭和33)年頃の暖房器カタログです。電気あんか、電気こたつ、電気ストーブなど多くの製品が販売されていました。
写真を見ただけでは何に使うのかわからないものはありませんか?

このカタログの最初にご紹介しているのは、「電気あんか」です。「あんか」は、現在でも販売されていますので、使用されたことがある方もいらっしゃるかと思います。

あんかEA-10取説表紙

平型あんかEA-10
1,380円 1956(昭和31)年

こたつの種類_東芝暖房器ご販売のしおり 1961年

当時のあんかの説明書には、「冬の訪れとともに、まず私たちの心にほのかな郷愁にも似た愛着を呼ぶあんかも、今までのものは炭火中毒、火災などの不幸な出来事が毎年後を絶ちません。」という記載があります。説明書に「ほのかな郷愁にも似た愛着を呼ぶあんか」という表現がロマンチックです。また、「炭火中毒」ということは、炭のあんかが使用されていたということですね。今でも「豆炭あんか」が冬のキャンプなどに愛用されているようですが、当時は不幸な事故が起こっていたため、電気の力を使って暖かくする安全な製品が求められていました。

「電気こたつ」にもいろんな種類があります。
電気あんかのようなこの製品。実はこれもこたつなんです。「置こたつ用」といいます。

置ごたつEK-2

電気こたつEK-2「置こたつ用」
1,890円 1954(昭和29)年

こたつには「置こたつ用」「切こたつ用」「堀こたつ用」と3種類が載っています。使い方の違いが説明書に載っていました。

こたつの種類 東芝暖房器ご販売のしおり 1961年

東芝暖房器ご販売のしおり
1961年(昭和36年)

「置こたつ」というのは、床に置いて使えるので、移動することも出来て、便利ですが下の図のように木枠であるやぐらに布団をかけて使用するため、足を入れるスペースが狭いです。一方「切こたつ」「堀こたつ」は、足を伸ばせてよいのですが、床下にこたつを置くための空間が必要になりますので、場所が固定されてしまい、移動することが出来ません。

やぐらと置ごたつ
置こたつ使用例

そんな中、やぐらの上部に熱源を配置した「やぐら式こたつ」が登場します。皆さんが「こたつ」を思い浮かべるときの形かと思います。
電気やぐらこたつは、東芝では1957(昭和32)年に発売され、発売と同時に爆発的に売れました。ヒストリーゾーンでは、当時の製品をご覧いただけます。

ヒストリゾーンのやぐらこたつ
KYA-41東芝電気こたつやぐら付反射形取説

東芝電気こたつやぐら付反射型KYA-41
2,950円 1957(昭和32)年

次に、これは何?と思ってしまうちょっと変わった品々の紹介です。
こちらは「電気足温器」という名前の商品です。足を入れて温めるための暖房器具です。最初は木製でしたが、徐々にフラノ地を使用し、クッション入りになって履き心地が良くなりました。畳の生活から椅子に座る生活様式の変化により、求められる電気製品も変わってきます。

電気足温器NH-401

電気足温器
1,450円 1953(昭和28)年頃

電機スリッパFP-20

電子スリッパFP-20
2,700円 1966(昭和41)年

一人用だけでなく、複数人用の足温器もありました。みんなで足の裏をくっつけるというのは、面白いですね。

FT-250足温器

足温器FT-250
3,200円 1965(昭和40)年

FT-250足温器の使い方

最後に「電気羽織」のご紹介です。

電気羽織CKA-51説明書

電気羽織CKA-51
1957(昭和32)年 3,500円

切り抜き電気羽織CKA-51

電気羽織CKA-51説明書

電気コードがついた服を着るなんて、ちょっと不安になってしまいますが、当時はバッテリーがありませんので、そうするしかありませんね。いつの時代も寒さをしのぐのは大変です。今回ご紹介した製品やカタログなどは、ヒストリーゾーン入口の「アーカイブ検索」でご覧いただくことが出来ます。

アーカイブ検索

「あんか」や「こたつ」などの単語で検索してみてください。
昭和時代の知恵と工夫が感じられる電気暖房器のご紹介でした。(スタッフB)

「1号機ものがたり」の1号機じゃない製品?

ヒストリーゾーンの「1号機ものがたり」という部屋には、日本初、世界初の東芝製品を展示しています。分かりやすく時系列でお伝えするために1号機ではない製品も展示しているんです。写真の3つの製品がその代表的なもので、何と呼ばれているかご存知でしょうか?
そうです、『三種の神器』と呼ばれた家電です。

三種の神器
手回し脱水とタイムスイッチ

「洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビ、こちらは三種の神器と呼ばれ、当時のあこがれの家電でした。」とご紹介すると、小学生たちは、授業で聞いたことがあるので「へぇ、これがそうなんだぁ」と珍しそうな感じですが、年配の方の中には、「子どものころ手回し脱水は自分の役割で、1枚ずつ挟んで絞るのが大変だったよ。」と懐かしむ方もいらっしゃいます。

手回し脱水とタイムスイッチ

昭和32年に発売したこの洗濯機には、日本初の機能があります。写真の丸いところについているタイムスイッチです。つまみを回して5分、10分と時間を設定することができました。今では当たり前の機能ですが、洗濯しながら他の家事ができるようになったのです。
展示にはありませんが上蓋がついていて、手回し脱水するときに、洗濯物受けとして使用することができました。取扱説明書VQ-3表紙の洗濯機の右側についているのが、上蓋をひっくり返して設置している様子です。

当時の取扱説明書には、洗い方や絞り方などが図入りで丁寧に説明されていました。先ほどのタイムスイッチのところは、「今、10の数字を赤い目印に合わせますと、洗濯機が働きだすと同時にツマミがだんだんOFFの方へ動いて行って、10分たつと、OFFのところにきて、ひとりでに電気が切れます。」とあります。「ひとりでに電気が切れます」という表現が面白いですね。

  • 洗濯機VQ-3取扱説明書の表紙

    洗濯機VQ-3取扱説明書の表紙

  • 洗濯機VQ-3取扱説明書の内容

    洗濯機VQ-3取扱説明書の内容

一方、可愛らしいフォルムの冷蔵庫には、この頃からドアに飲み物などを入れられるドアポケットつきがでてきました。今と比べて、かなりシンプルです。

冷蔵庫

昭和33年頃のカタログをご覧いただくと分かるように、ドアポケットがついているタイプとついていないタイプを販売していました。

  • GR-630冷蔵庫カタログ
  • GR-820含む冷蔵庫カタログ

また、カタログにはこんな記載もあります。「冷却能力がすぐれているため、消費電力にムダがなく電気代は氷代の1/10以下ですみます。」と氷で冷やす氷冷蔵庫の氷代と比べているところに時代を感じます。

これら「三種の神器」を一般家庭に普及するために力となったのは、月賦販売制度です。今は分割払いと言いますね。東芝は昭和10年頃から月賦販売をはじめ、31年頃には全国に月賦販売部門をつくり、力をいれました。昭和34年のテレビのカタログには、「現金定価」と「定価」の二つの金額を載せています。「定価」が月賦販売価格のことで、現金定価より少し高めになりますが、憧れの家電を手に入れられると利用者が増え、電気製品の普及に貢献しました。

1959年(昭和34年)セールスマンカタログ

当館の「1号機ものがたり」にいらしたら、1号機だけでなく「三種の神器」もぜひご覧ください。そして、みなさんにとっての「三種の神器」とは、なんだろう・・・と考えてみてはいかがでしょうか?(スタッフA)

#

#