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世界初インバーター制御高速ギヤレス
エレベーターの開発

高速エレベーターの“快適な乗り心地”を実現するには
インバーター制御が不可欠だった。

世界初インバーター制御高速ギヤレスエレベーターの開発の画像

当社は、1966(昭和41)年に昇降機の製造販売を開始し、翌年に当社初の中低速エレベーターを河合楽器前橋営業所に納入した。その後、1970(昭和45)年に直流電動機を巻き上げ機に使用したワードレオナード制御高速エレベーターを当社1号機として第17森ビルに納入した。これらの高速エレベーターは、高速で移動しながら快適性を保持するため、エレベーターの起動時から着床に至るまで極めて振動を小さく、かつ正確に着床させる高度な技術が要求される。この高度な制御は、それぞれの直流電動機ごとに三相誘導電動機で駆動する直流発電機を設け、直流電動機に加える電圧を変化させて巻き上げ機を制御するワードレオナード制御を用いたが、設備費が極めて高くなるだけでなく、大きな設備スペースが必要とされた。

これらの問題に対処しつつ、高速エレベーターの“優れた乗り心地”と“静粛さ”を実現するため、減速機を使用しないギヤレス駆動の巻き上げ電動機を開発した。これには半導体電力変換素子(サイリスター)を用いたサイリスター(静止)レオナード方式を採用し、1980(昭和55)年には当社初の静止レオナード制御高速ギヤレスエレベーターを新宿第一生命ビルに、1984(昭和59)年には超高速ギヤレスエレベーターを東芝本社ビルに納入した。

しかし、直流電動機を制御するサイリスター(静止)レオナード方式は、力率改善に大きな電源設備容量が必要とされ、電源のひずみが大きくなるなどの問題があった。これらの課題を解決するため、省エネルギーの流れで急速に進歩したインバーター技術と交流誘導電動機を高精度に制御するベクトル制御技術を開発した。1983(昭和58)年に巻き上げ機にかご型誘導電動機を採用し、インバーターで可変電圧可変周波数制御を行うインバーター制御高速ギヤレスエレベーターを世界で初めて完成させた。

このエレベーターでは最高速度でも誘導電動機としては数Hzの回転なので、その回転を高精度で検出できるブラシレスレゾルバーを採用し、インバーター制御にあわせてすべり周波数制御形ベクトル制御を行うことによって、停止制御を含む安定的トルク制御および巻き上げ機を超徴速から最高速度まで自由自在に制御できる方法を確立した。1985(昭和60)年このインバーター制御高速ギヤレスエレベーター1号機を東邦瓦斯総合技術研究所に納入した。さらに、インバーター制御に使用される大電力半導体素子(サイリスター)の分野でもさまざまな改良が行われ、1980年代の後半にはスイッチング性能を大幅に改善したIGBTの採用で、電動機から発生する磁気騒音を低減できたため、フィルター回路などが不要となり、システムの小型化を図ることができた。大電流を数kHzで制御する回路に、高速プロセッサーや専用のゲートアレーを採用し、小型・高集積化した高性能全デジタル制御装置を可能にした。現在、高速エレベーターはインバーター制御ギヤレス駆動方式が世界の主流となっている。

ACGL(インバーター制御高速エレベーター)初号機
ACGL(インバーター制御高速エレベーター)初号機
東邦ガス総合技術研究所(愛知県東海市)1985年3月

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