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世界初のベクトル制御インバーター

交流モーターを直流モーターのように自由に制御したいとの想いを
ベクトル演算で実現、交流可変速モータードライブ時代の幕開けに。

世界初のベクトル制御インバーターの画像

当社はインバーターと誘導電動機とを組み合わせて高性能な制御をするベクトル制御交流可変速モータードライブを1979(昭和54)年に世界で初めて大型プラントに適用した。この功績によって「大型抄紙機駆動用ベクトル制御インバーター装置」として日刊工業新聞より1979(昭和54)年十大新製品賞を受賞した。

それまで高性能な制御をする可変速モータードライブでは直流モーターが使われていた。直流モーターは直流電圧の大きさによって出力を自由に制御できるが、回転部分に電気を送る必要があり、構造も複雑になる。一方、交流モーターである誘導電動機は固定部分のみに電気を送ればよく、構造は簡単で手入れもほとんど必要ない。しかし、インバーターで交流の電圧と周波数を制御しただけでは過渡的な振動が発生し、出力が落ち着くまで時間がかかる。その頃、誘導電動機の磁束ベクトルに合わせて交流ベクトルを制御する概念がすでに発表されていたが、磁束ベクトルを直接検出することが難しく、実用化には至らなかった。当社ではこの問題を解決する方法として1978(昭和53)年に交流ベクトルを演算で求める方法を発表し、翌年このベクトル制御を500kWの大容量モータードライブで実用化した。

いきなり500kWへの適用はかなり冒険を含んでいたが、入念な設計、調整により抄紙機プラントは無事稼働し、交流可変速モータードライブ時代の幕開けとなった。さらに、マイクロコンピューターを使ったデジタル制御をいち早く採用し、直流モーターをしのぐ性能になったことで、製鉄所などで使われている1万kWを超える大容量モーターへの適用拡大が急速に進んだ。この結果、交流可変速モータードライブ技術は日本が世界をリードすることになり、直流モーターから交流モーターへの転換が急速に進むことになった。現在、このベクトル制御は産業分野だけでなく小容量から大容量まであらゆる分野へと応用が広がり、その考え方は誘導電動機だけでなく同期電動機や永久磁石電動機などの交流モーター制御の基本として定着している。

例えば、エレベーターではこのベクトル制御を採用し、1983(昭和58)年に世界初のインバーター高速ギアレスエレベーターを開発し、快適な乗り心地と高速運転を実現している。エアコンでは1982(昭和57)年に世界初のインバーターエアコンを実用化し、その後ベクトル制御を導入して、消費電力と騒音のさらなる低減を実現した。また、鉄道分野でもこのベクトル制御の採用により、速度ゼロまで可能な電気ブレーキや、車輪の空転に素早い対応ができる機能を実現し、その後の標準的な制御方式となっている。

抄紙機用500kW誘導電動機
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鉄鋼圧延プラント
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新幹線700系
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