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車載向け画像認識用プロセッサ「Visconti」

安全運転を支える小さな頭脳

ここ数年、自動車の衝突防止技術の進歩は目覚ましく、高級車から軽自動車まで幅広く採用されるようになりました。この技術の実現には、高度な画像認識を行うプロセッサの存在が欠かせません。

瞬時に大量の画像情報を同時に処理するチップ

ニャンダロー:最近の車は、「ぶつからない」「自動で止まる」なんて言っているけど、どういう仕組みなのかニャ?

今回の先生 セミコンダクター&ストレージ社 車載IC応用技術部 福岡 浩さん

福岡先生:カメラの画像やレーダーの反射波などから障害物を検知して、危険と判断したらブレーキをかける仕組み。言葉で説明すると簡単なようだけど、車が走っている時にこれらの処理を瞬時に実行するのは、とても大変なことなんだ。東芝の画像認識用プロセッサ「Visconti」は、車載カメラから送られる画像情報を使って、歩行者や車、障害物の検出を一つのチップでこなしているんだ。

ニャンダロー:こんな小さなICチップ一つで!?

福岡先生:さらに、最新型のVisconti4は、同時に8つの仕事(アプリケーション)をこなせるんだ。図1にあるように、前方障害物の他に、歩行者、信号、標識、車線などを、それぞれ検知して別々の対象物として判断し、ドライバーが認識すべき情報を見落とさないように運転を支援するんだ。

図1 最大8つのアプリケーションを同時に実行!

画像の特徴を抽出・照合して対象物を認識する

ニャンダロー:そんなにいろんなものをどうやって見分けているんですか?

福岡先生:たとえば歩行者の場合、まず、画像の中のどれが歩行者かを判断しないといけないよね。Viscontiには、どんな形状の物体が歩行者なのかをデータにした辞書が備えられていて、大量の画像データの特徴を辞書と照合し、適合したものだけを歩行者と見なすんだ。この特徴を抽出する時も精度の高い東芝独自の高度な検出技術が使われていてね。その後は、歩行者との距離や動く方向などを認識して、ドライバーや車へ必要な情報を送るんだよ。これだけのことを、走っている一瞬の間にしてくれるんだ(図2)。基本的には一つの画像から必要な情報を抽出しているけど、複数のカメラから異なる画像を取り込んで、それらを同時に認識することもできるよ。前方・後方・側方とかね。

ニャンダロー:本当にViscontiって、頭がいいんですね。尊敬しちゃいます。

福岡先生:もっと言うと、Visconti4では、夜間の歩行者認識なんかは、もう肉眼で見る以上のレベル。従来は、輝度(明暗の差)で認識していたんだけど、色情報での識別も可能になったからね。

ニャンダロー:技術の進化、すごいですね。夜、歩いている人は見つけにくいからありがたいニャ。このまま進化すると、車は自動で動くようにニャったりして!

自動運転実現に向けて高まる画像認識プロセッサの重要性

福岡先生:実は、2020年代の後半にはドライバーの操作を必要としない完全自動運転を実現しようという動きもある。そのための技術研究はもちろん、各国で安全運転支援への法的取り組みも始まっているんだ。また、自動車だけでなく、人の動きを検知して空調・照明を制御したり、ジェスチャーによる機器の操作、一度に大量の人を監視できるカメラや道路交通での歩行者・車両検知など、画像認識プロセッサの適用範囲はどんどん広がっているよ。

ニャンダロー:壮大な社会に、この小さなチップが大きな役目を果たすんですね。先生、もっともっとViscontiの活躍の場を広げてください。

  •   Visconti:VIsion-based Sensing, CONTrol, and Intelligence
    ヴィスコンティはイタリアの貴族の名前でもあります。
図2 画像を認識するまでにさまざまな処理が行われます

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