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ウェアラブル生体センサ「Silmee Bar type」

体の状態をリアルタイムで測定

体に貼り付けるだけで、心電位、脈波、体動、皮膚温を測定することができる生体センサ「Silmee Bar type」。使われている技術やこの製品を使って何が分かるのかを鈴木先生に教えてもらいました。

東芝独自の擬似SoC技術で小型多機能化を実現

ニャンダロー:生体センサSilmeeってどんな技術が使われているのかニャ?先生教えてください。

今回の先生 ヘルスケア社 ヘルスケア開発センター 鈴木 琢治さん

鈴木先生:Silmeeは、心電位*1、脈波、皮膚温、加速度といった各種センサを内蔵しているんだ(図1)。ゲルパッドで人体に貼り付け、心電位や心拍の間隔、脈波や脈拍、皮膚の温度を同時に連続して測定したり、立った状態や仰向けの状態などの体の動きを感知することができ、データをスマホやタブレット*2に無線通信で送れるんだよ(図2)。どうしてこんなに小さくできたかというと、生体センサの面積を従来比の4分の1に縮小できる、東芝独自の擬似SoC(System on Chip)技術を採用したからなんだ。擬似SoCというのは、市販のICやコンデンサなど多様な種類の電子部品を並べて配置して、樹脂ウエハに埋め込み再配線してモジュール化する技術。電子部品を回路配線基板上に集積するSiP(System in Package)技術のような基板を使用しないので、より小型にできると同時に、自由度が高く開発コストも抑えやすいんだ。

ニャンダロー:ニャるほど〜。こんなに小さいのにセンサがたくさん入っているんですね。

鈴木先生:このサイズで同じ機能を持つ製品はなかなかないんだよ。

ニャンダロー:すごいニャ〜。測ったデータはどう使うんですか?

  • *1 心臓が発する電気信号を電位差で捉えたもの。
  • *2 Android OS に対応。
図1 「Silmee Bar type」はこんなに小さい!(心電位を計測するため導電性ゲルパッドを付けて胸部に装着します。)

自律神経のバランスから睡眠の質を解析

鈴木先生:例えば睡眠の質の解析に活用できると考えているんだ。テレビで電極をたくさん貼り付けて寝ている様子を見たことないかな?これまで睡眠の質を解析するためには、頭部や体に多数の電極を貼り付け、眠っている状態での脳波、呼吸、体や眼球の動きなどを計測する大規模な検査が主流だった。でもSilmeeなら、胸部に一つ貼り付けるだけで睡眠の質やリズムなどの解析ができるんだ。睡眠の質には自律神経のバランスが関係している。自律神経は意識しなくても自然に体の各機能を調整するように働いてくれる神経で、汗をかいたり、ホルモンの分泌を調整したり、心臓を動かしたりする。体を活発に動かすための交感神経と、その反対の休養するための副交感神経が相互にバランス良く働くことが大事なんだ。このために自律神経のバランスを解析・評価するソフトを作ったんだよ。Silmeeは加速度センサで体の動きを調べて睡眠中かどうかを判断し、心電位センサで寝てから起きるまでの間の心拍変動を周波数で解析し、交感神経と副交感神経のバランスによって睡眠状態を判定できる。何回寝返りを打ったか、どういう姿勢で寝ているかも分かるんだ(図2)

ニャンダロー:睡眠時無呼吸症候群やうつ病の傾向にある人の眠りの分析などにも使えますね。

鈴木先生:そうだね。国内の大学や研究機関、企業向けに販売してさまざまな用途で使用してもらうんだよ。

ニャンダロー:眠りに関する分析がさらに進むといいですね。ほかにどんな使い方があるんですか?

鈴木先生:在宅介護をされている方に使っていただくことを考えているんだ。在宅といってもずっと近くにいて様子をみることは難しいよね?Silmeeなら心拍の変動や動きが検知できるから、いち早く変化に気付いて知らせることができる。深夜の体調変化を誰にも気付かれず…ということも、Silmeeを付けていれば防げるかもしれない。

ニャンダロー:いろいろな使い方が考えられますね。

図2 無線通信でスマホやタブレットにデータを表示(睡眠中の自律神経のバランスと体の動きや姿勢から、寝付くまでの時間や正確な睡眠時間、深い睡眠が何分ぐらいあったかが一目で分かります。)

ストレス診断支援サービスにも応用

鈴木先生:近年、いわゆる新型うつと呼ばれる患者が増え、また6月成立の改正労働安全衛生法でストレスチェックが原則義務化されたから、大企業を中心にメンタルヘルス対策が急務となってきているんだ。当社は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受け、10月からさまざまな用途を開拓するための実証実験事業を進めていて、その中で、ストレス検査での実証試験を行い、Silmeeの有効性を確かめることになったよ。具体的には都市生活や森林浴環境など条件が異なる環境で、Silmeeで取得した自律神経バランスの数値と他の生理データ、被験者に回答してもらうアンケートとの相関関係を調べるんだけど、そこで得られた知見をストレス診断支援サービスなどの商品開発に生かしていくよ。

ニャンダロー:知見の収集によってさまざまなソリューションやサービスが展開される可能性があるんですね。ヘルスケアに関するどんなサービスが提供されるのか楽しみだニャ。

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