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揚水発電

夜くみ上げた水で昼に発電

古くから利用されてきた水力発電が、自然の力を利用した再生可能エネルギーとして、近年世界的に見直されてきています。
中でも、電力需要の変動に迅速に対応できる発電技術として注目されている揚水発電について、電力システム社水力プラント技術部の森先生にお話を伺いました。

ニャンダロー:そもそも揚水発電って、普通の水力発電とどう違うんですか?

今回の先生 電力システム社 水力プラント技術部 森 淳二さん

森先生:揚水とは文字通り水をくみ上げることなんだ。通常の水力発電は、川をせき止めたダムなどの水の力を利用して水車を回して発電している。発電した水は、下流に流れていくよね。揚水発電では、その水をためておいて、また上流に戻して使うんだ。

ニャンダロー:水の再利用でエコのような気もするけど、くみ上げるために電気を使うんですよね? なんだか本末転倒のような気がするニャ。

森先生:確かにそう思われるかもしれないね。でも、揚水発電は昼間に発電して、夜、上流のダムに使った水を戻しているんだ。
夜は人々の活動が少なくなる分、電力の需要も減るよね。でも、大型火力発電所などは、急激に発電量を減らすことができない。そこで夜間は比較的電力に余裕があるので、その時間を利用して水をくみ上げているんだ。また、電気は足りなくても困るけど、多過ぎてもいけない。余った電力を使うことにより、電力需給全体を調整する役目も果たすんだ。

写真1 揚水発電はダムが2つ!

ニャンダロー:ニャるほど、必要なときに電気を作り、余っているときに使うんですね。ところで、水力発電といえば大きなダムをイメージするけど、揚水発電のダムも同じようなものですか?

森先生:揚水発電の場合、発電に使った水を受ける下ダムと、くみ上げた水をためる上ダムの2つがあるんだ。昼は上ダムから放流して発電、夜に下ダムからポンプで水をくみ上げて上ダムに戻す。全体の水の量はいつも一定だよ。(図1・写真1)

ニャンダロー:発電機の他にポンプも必要ニャんですか?

西岡先生:水力発電では発電機と水車が同じ軸でつながっていて、水の力で水車を回して発電するんだけど、揚水発電ではこの水車がポンプの機能も果たすんだ。そして発電機は、昼は発電、夜はポンプ水車を動かす動力の役目をするよ。(図2)

図1 揚水発電所断面図

水車の回転を変えて効率アップ

ニャンダロー:水車に当たる水の量が多いほど、発電量も大きくなるんですよね。

森先生:その通り。発電のパワーは、流量×落差×効率で決まるんだ。水車に当たる水の力(トルク)が強ければパワーも大きくなる。一方で、ポンプ水車の回転数は、発電電動機の周波数に応じて決まるので変えられなかったんだ。つまり、揚水時にくみ上げる水量は調節できなかった。でも、もし回転数を変えられれば、くみ上げる水量を変化させることができる。手回しのポンプを早く回せば、水がいっぱい上がるのと同じ仕組みだね。これにより、電力の需給に応じた細かい調整ができるようになるし、逆に発電のときも、回転数を変えて水量に応じた効率的な発電ができるようになる。
そこでこれらを実現すべく、東芝では1990年に世界で初めて「可変速運転」ができる揚水発電システムを実用化したんだ。発電電動機の制御に新たな方式を取り入れて、水車の回転数を変化させられるようにしたんだ。半導体技術やデジタル制御技術の進歩も、その実現に貢献しているよ。

図2 揚水発電所の発電機と水車

再生可能エネルギーの担い手

ニャンダロー:自然の力を利用した発電には、風力や太陽光発電などがあるけど、揚水発電の特長は何かニャ?

森先生:風力や太陽光は、風が吹き、お日様が照るのが大前提。だから、気象条件によっては、発電できないこともあるし、常に変化するものだよね。一方で、揚水発電はくみ上げた水を流すことで、すぐに安定した発電ができるから、変動する自然エネルギーと組み合わせて、電力供給全体を安定化させる役目を担うことができるんだ。特に可変速揚水発電は、実際、風力や太陽光発電の普及が進むヨーロッパなどでは、これらと組み合わせる発電方式として見直されているし、効率的な発電システムとして新興国の新規需要や、先進国でのリプレース(更新)なども、今後増加することが期待されているんだ。

ニャンダロー:東芝が開発した技術が、世界のエネルギーや環境の問題解決に貢献しているんですね。先生ありがとうございました。

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