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日本初のDDインバーター全自動洗濯機の開発

深夜でも騒音で気がねしない洗濯機を目指して。

日本初のDDインバーター全自動洗濯機の開発

当社は、1997(平成9)年に新開発のアウターローター方式DD(ダイレクトドライブ)モーターを採用して洗濯機の駆動機構を一変し、騒音と振動を飛躍的に低減させた全自動洗濯機の発売を開始した。

これまでは騒音による迷惑を考え、隣り近所に気がねして、多くの人が深夜や早朝を避けて洗濯していた。これは、特に働く主婦にとって悩みの種であり、一般の主婦にとっても、昼間の時間を有効に過ごすことへの妨げとなっていた。それまでも騒音を少なくすることについてはさまざまな努力がなされてきたが、従来技術の延長線上での改善ではほぼ限界に達し、何らかの発想の転換が必要になっていた。

当社では、従来の駆動機構が誘導モーターとベルト、ギアによる減速機構で構成されており、この減速機構と誘導モーターに大きな騒音の発生源があることに着目した。そこで、洗濯槽を直接駆動(ダイレクトドライブ)できる、音の静かなモーターと、このモーターを駆動・制御するインバーターを開発することにした。

洗濯機の減速機構をなくすためには、従来の約10倍の大トルクで、速度可変のモーターが必要になった。洗濯機に搭載可能なコンパクトなモーターにするため、平らな形状で外側をローター(回転子)とする方式のブラシレスDC(直流)インバーターモーターを採用することにした。ところが、ブラシレスDCモーターには原理的に、ローターのマグネットとステーター(固定子)の電磁石との間で発生する磁力の変動による騒音、いわゆる“コギング音”の問題があり、これを克服することが最大の課題となった。このため、電磁石の並び間隔の不均等化やマグネットの形状を太鼓状にするなど独自の工夫を重ね、磁力の変動を低減し、この問題を解決した。

さらに、洗濯物の種類に応じて、洗濯・すすぎ・脱水の各プロセスにおけるDDモーターの回転数を変化させるインバーター制御システムも開発した。ところが、このモーターでは、マグネットの磁束の波形と巻線に流れる電流の波形との違いによってトルク変動が生じ、これによる騒音も発生した。これを低減するには、巻線電流に対する正弦波通電制御が必要となり、ローターの回転位置を高精度に検出することが不可欠である。そこで、位置検出素子として従来の高価なエンコーダーに代わり、磁気センサーの出力で回転位置を推定する低価格な正弦波通電インバーターを開発した。

DDモーターの開発とともに、洗濯槽を直接回転させるシンプルな駆動機構を開発し、振動低減の新技術とあわせて“洗濯時は静かな公園並み”、“脱水時は図書館並み”と、画期的な静かさを実現した。同時にインバーターによってきめ細かな回転制御を行い、洗濯物に最適な水流を生み出している。

画期的に音の静かな洗濯機を可能にしたDDモーターは、他の機器にも幅広く応用できる可能性も高く、1998(平成10)年に生産技術において権威の高い大河内記念技術賞を受賞した。

DDモーターのイメージ
DDモーターのイメージ

AW-B70VP取扱説明書
AW-B70VP取扱説明書

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