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世界初のクリーナーレスプロセス搭載のファクシミリ

コピー機、ファクシミリなどに用いられる究極の電子写真技術を開発、
レーザープリンターの小型化、高画質化、メンテナンスフリーを実現。

世界初のクリーナーレスプロセス搭載のファクシミリ

従来の電子写真は、トナー粒子とキャリアと呼ばれる磁性体粒子の二つの成分から構成される現像剤を用いていた。トナー粒子とキャリアの摩擦帯電でトナー粒子を所定の極性に帯電させ、マグネットローラーで感光体ドラムまで搬送し、感光体ドラム上に露光によって描かれた静電潜像を現像していた。キャリアは現像器の中で何度も再利用されるが、用紙に転写されなかった感光体ドラム上のトナー粒子はクリーニングブレードで除去され、廃トナーボックスに回収される。しかし、定期的なメンテナンスの必要があることが課題であった。またキャリアの表面はトナー粒子との撹拌で生じる微粉などで被覆されて劣化するため、キャリアの交換が必要であった。さらに、キャリアはマグネットローラーに磁力で保持されているので、ローラーからキャリアとトナー粒子をはがすのは大変な作業であった。この作業を不要にしてメンテナンスフリーにするため、現像剤をトナー粒子だけの一成分にすることを目標に、新しい技術の開発に取り組んだ。

最初は、キャリアの持つ磁力搬送の機能をトナー粒子の機能として取り込んだ一成分磁性トナーに挑戦した。しかし、磁性トナー粒子を運ぶマグネットローラーが必要で小型化が難しいことや、カラー化が困難との判断で開発を断念した。その後、一成分で非磁性のトナー粒子にすれば良いと確信し、研究開発に着手した。その実現には、三つの困難な課題を克服しなければならなかった。一つめは、キャリアを使わずにどのようにトナー粒子を摩擦帯電させるか。二つめは、非磁性のトナー粒子を磁力の助けを借りずにどのように感光体ドラムに運ぶか。そして三つめは、高画質の画像を得るために、潜像電荷分布上にいかに忠実にトナー粒子を付着させるか、であった。

一つめの課題は、トナー粒子を現像ローラーと弾性ブレードで挟むことにした。トナー粒子が現像ローラー上で単層に近い薄さになると、十分に摩擦帯電が行われた。二つめの課題は、現像ローラーとトナー粒子間の摩擦係数が最大で、トナー粒子同士の摩擦係数が最小である材料を使えば解決できることがわかった。トナー粒子を十分に摩擦帯電し、なおかつ薄層にすると、鏡像力が働いて、現像ローラーから感光体ドラムに運べることが確認できた。三つめの課題は、現像ローラーと感光体ドラムの間を非接触でトナーを飛ばす非接触現像法を選択して製品化を進めたが、安定性や他社の特許に関わる問題が顕在化して断念せざるを得なくなった。結果的には、接触現像法を選択した。所定の摩擦帯電性と電気抵抗を有する導電性ゴムによる弾性現像ローラーの開発が、成功のポイントとなった。さらに、この接触型一成分非磁性現像を用いると電界強調効果によって、高画質現像と同時に現像電界によるクリーニングを実現できることも見いだした。開発を開始して十数年後の1995(平成7)年に、多機能レーザーファクシミリを製品化することができた。

開発した電子写真技術の構成図
開発した電子写真技術の構成図

接触型一成分非磁性現像と現像同時クリーニングの図
接触型一成分非磁性現像と現像同時クリーニングの図

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