Japan

トップページ > 学ぶ(ヒストリー・サイエンス) > 1号機ものがたり > 世界初の大容量ガス絶縁変圧器

世界初の大容量ガス絶縁変圧器

高気圧のSF6ガスを絶縁と冷却に用いて、
275kV-300MVAの大容量不燃変圧器を完成。

世界初の大容量ガス絶縁変圧器

絶縁油の代わりに不燃性のSF6ガスを用いた変圧器は日本では当社が1967(昭和42)年に初めて66kV-3,000kVAのものを第一生命地下の変電設備に納入した。SF6ガス絶縁化は絶縁性能の高さ、不燃という特性優位性から開閉装置ではより高電圧の機器にも迅速に展開されていったが、変圧器の場合は冷却能力が油より小さいため、なかなか大容量化は進まなかった。しかしながら都市部における地下変電所増設の需要とその安全性確保の観点から大容量ガス絶縁変圧器の開発が期待されていた。

大容量不燃性変圧器の開発は、米国で1980年代初めに300MVA級の開発実用化を図るとの計画が示されたが、米国政府の財政規模縮小で計画が中止された。日本では、米国での開発計画に触発されて1983(昭和58)年に本格化した。当時は、変圧器の大容量化にはSF6ガス単独では冷却能力が不十分と考え、冷却にフロロカーボン液を使用する案が考えられていた。当社は、GE社が手がけていた方式、すなわち巻線にアルミシートを、絶縁にPETフィルムを使用し、巻線内に金属製のパネル形冷却板を巻き込んで、その中にフロロカーボン液を流して直接巻線を冷やすセパレート式(絶縁はSF6ガス、冷却はフロロカーボン液にそれぞれ独立して依存する方式)冷却を採用して実用化を目指した。各社がそれぞれ異なる方式で開発を競い合ったが、最初に製品化に成功したのは当社で、1989(平成元)年に東京電力旭変電所向けに世界初の154kV-200MVA大容量ガス絶縁変圧器を完成した。続いて1990(平成2)年には、275kV-300MVAの変圧器を開発し、東京電力新坂戸変電所に納入した。

しかしながらこの変圧器は、巻線冷却のために冷却パネルを内蔵する特別な構造を必要とし、かつ冷却用のフロロカーボン液が非常に高価であることもあり、変圧器としてのコストが従来の油入の3倍近くなり、今後継続的に普及させていくことは困難と考えられた。そのためSF6ガスで直接冷却するための研究を並行して進めていた。最大の課題であるガス単独での冷却性能アップのために製品開発課と研究所とで開発チームを作り、ガス自体の冷却特性向上策、変圧器としてみたときの巻線内部の流れ方、流れを変える新しい構造の探究を続けた。その結果、ガス圧力の昇圧、高めの常用温度設定を可能にする高耐熱絶縁物の採用、大容量高圧ガスブロワの開発、および巻線内ガス流コントロールの詳細解析評価による巻線温度の均一化などの技術によって300MVA級の変圧器もSF6ガス単独で冷却可能とすることに成功し、1994(平成6)年に、東京電力東新宿変電所向け275kV-300MVA変圧器の全ガス大容量変圧器を製品化し、以降標準機種の一つとして販売を継続している。

当社では、同じ年に275kV-150MVAガス絶縁分路リアクトルも製品化し、東京電力葛南変電所に納入した。これによって、ガス絶縁変圧器と分路リアクトルが冷却のために特別なシステムを持たない形態で実現し、東京電力では、このガス絶縁機器が油入に代わって地下変電所向け機器の主流となっている。この方式は、日本国内の他の電力会社でも採用され、海外でも世界の都市部の安全な地下変電所構築のキーコンポーネントとして注目されている。

オーストラリアTRGヘイマーケット変電所向け345kV-400MVAガス冷却式絶縁変圧器
オーストラリアTRGヘイマーケット変電所向け
345kV-400MVAガス冷却式絶縁変圧器

関連リンク

1号機ものがたり一覧へ

学ぶ(ヒストリーサイエンス)トップページ

東芝未来科学館 〒212-8585 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地34 スマートコミュニティセンター(ラゾーナ川崎東芝ビル)2F

このページのトップへ