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世界初の可変速揚水発電システム

水車発電機の理想を実現した可変速発電機の仕組みが、
60年の時を経て世界初の可変速揚水発電システムに生まれ変わった。

世界初の可変速揚水発電システム

一般の水力発電所では、発電機は系統周波数(東日本では50Hz、西日本では60Hz)に対応した一定の回転数で運転している。しかし発電機を駆動している水車は、その特性上、落差や出力に応じて回転数を変えた方が効率の良い運転ができる。例えば、落差や出力に応じて発電機の回転速度を変えることができれば、さらに水車の効率を向上させ発電量を増やすことができる。

当社は、この水車発電機の理想を実現した日本初の可変速発電機(750kVA)を、金沢市電気局(現:北陸電力)吉野第二発電所に納入し、1930(昭和5)年に運転を開始した。当時としては非常に高度な技術と性能を持った可変速発電機であったが、その後適用が拡大することはなかった。

戦後経済が高度成長期に入って電力需要は大きく伸長してきたが、それと共に昼夜の電力需要の格差が著しく増大し、かつ変動も大きくなってきた。系統周波数を一定に保ち電力を安定供給するには、変動するピーク需要に合わせて発電量を迅速に調整し、需要と供給をバランスさせる必要があった。水力発電は流量を調節することによって出力を迅速に変えることができるのでこの目的にかなっているが、日本では大きいピーク需要に見合うような大容量の水力発電所を新しく建設できる地点が、1960(昭和35)年以降、ほとんどなくなってしまった。

そこで、これに代わって揚水発電所が建設されるようになった。一般の水力発電所が河川の自然流量を用いて発電しているのに対し、揚水発電所では、原子力などの夜間の余剰電力を用いて下ダムの水を上ダムにくみ上げて貯蔵し、この水を利用して昼間にピーク発電を行う。そのため河川流量に関係なく大容量の発電所を建設することができる。この揚水発電所は、一般の水力発電所と同様、出力を迅速に変えることができるため、電力の安定供給と系統周波数の維持に不可欠の役割を果たしている。ところが、これまでの揚水発電システムでは一定の回転数で運転されるため、揚水運転時にポンプの特性上、電気入力を変えることができない。もし回転数を変化させることによって電気入力を自由に変えることができれば、需給の微調整が可能となり、夜間の揚水運転時の系統周波数調整も可能になる。

このことに着目して東京電力と当社は共同研究を重ね、1990(平成2)年に矢木沢発電所において世界で初めて低周波交流二次励磁方式による可変速発電電動機を用いた揚水発電システムを完成させた。

この発電電動機の原理は60年前に製作された吉野第二発電所の発電機と同じであるが、低周波交流励磁電流は大容量サイリスター素子を用いた静止型周波数変換器であるサイクロコンバーターから供給するようになっている。この可変速揚水発電ユニットは、高速高性能のデジタル制御装置によって、従来の水力発電機に比べて極めて高速な入出力制御が可能なほか、系統の電力動揺の抑制といったさらに複雑で高度な制御も行っている。

金沢市電気局 吉野第二発電所750kVA可変速発電機
金沢市電気局
吉野第二発電所
750kVA可変速発電機

電源開発 奥清津第二発電所 可変速発電電動機ローター
電源開発
奥清津第二発電所
可変速発電電動機ローター

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