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世界初の超々臨界圧大容量蒸気タービン

歴史的に偉大な技術や重大な出来事として
技術年表「電力技術の一世紀」の紙面を飾った。

世界初の超々臨界圧大容量蒸気タービンの画像

電力技術に関する国際的機関誌PEi(Power Engineering INTERNATIONAL)の2010(平成22)年5月号はこの1世紀(1910年〜2010年)における世界の電力技術の発展に関して特集を組み、歴史的に偉大な約50の技術や重大な出来事を年表の形式で紹介した。その中で1989(平成元)年に当社が世界初の超々臨界圧タービンを開発したことが写真付きで取り上げられている。超々臨界圧タービンとは水蒸気の臨界点圧力22.1MPaより大幅に高い31.1MPaの主蒸気圧力で作動する蒸気タービンを意味し、超臨界圧タービンと呼ばれていた24.2MPaの主蒸気圧力で作動する従来のタービンと区別するために付けられた呼称である。当時、世の中は二度のオイルショックを経験し、発電事業に対し高効率化の要望を急速に強めていた。しかし火力発電プラントにおいては熱効率向上に必須の高温高圧化技術が、米国でのパイロット機の不調から信頼性面に不安を持たれ、世界的に高温高圧化の趨勢(すうせい)は十数年間にわたり進展を止めていた。その技術的停滞を打破する発端となったのが、当社のタービンの技術である。

このタービンの主な仕様は中部電力川越LNG火力発電所1号機および2号機向け、周波数60Hz、定格出力700MW、2段再熱31.1MPa、566/566/566℃、TC4F-33.5、4車室の蒸気タービンである。この蒸気条件によってタービンプラントの発電端熱効率は従来同等機の39.7%から41.7%へと相対的に5%向上した。

設計方針として中圧タービンと低圧タービンに関しては従来機の技術をそのまま応用し、開発の焦点を超高圧・高圧タービンに集中した。特に注力した研究開発は三つあり、一つ目は回転部のみならず全ての静止部品に新たな12Cr鋼を採用し、高圧化に伴う熱応力の増加を防いだことである。二つ目は超高圧化によって懸念された「スチームホワール現象」と呼ばれるローターの不安定軸振動に対し、新たな試験装置を用いてローター系の特性を事前に解明し、その発生を防止したことである。三つ目は全部品の中で最も過酷な条件にさらされる初段動翼について徹底した数値解析と実体回転試験を行い、事前に信頼性の確認を行ったことが挙げられる。この蒸気タービンは運転開始から今日まで20年間にわたり期待通りの順調な稼働を続けている。1991(平成3)年にはその業績をたたえられ、日本機械学会技術賞や英国機械学会論文賞なども授与された。ただLNG火力に対しては、その後に超々臨界圧蒸気タービンよりもさらに高効率を発揮するコンバインドサイクルが普及し、蒸気タービンは主役の座をガスタービンに譲った。しかし世界の電力界で今なお大きな比重を占める石炭火力発電や石油火力発電に関しては、このタービンで培った技術はそのまま蒸気条件のさらなる高温化も促し、日本や中国を始めとする世界の省エネルギー化や温暖化防止に地道な貢献を続けている。当社の蒸気タービンが現在の世界における蒸気タービン技術の潮流を最初に作り出したことが歴史的に改めて認識され、国際的評価を受けたと考えられる。

運転中の超々臨界圧大容量蒸気タービン発電機
運転中の超々臨界圧大容量蒸気タービン発電機

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