Japan

トップページ > 学ぶ(ヒストリー・サイエンス) > 1号機ものがたり > 世界初の赤色半導体レーザー室温連続発振

世界初の赤色半導体レーザー室温連続発振

世界初の赤色レーザー室温連続発振を達成、
翌年には光ディスクに応用された横モード制御構造を世界に先駆けて開発。

世界初の赤色半導体レーザー室温連続発振

1960(昭和35)年、米国の物理学者セオドア・メイマンが世界初のルビーレーザーを発明し、1962(昭和37)年に半導体レーザーのパルス発振が報告された。さらに1970(昭和45)年には、GaAlAs赤外半導体レーザーによる室温連続発振が達成されている。これら最先端の技術開発に刺激され、当社の総合研究所(現:研究開発センター)でも半導体レーザーの研究が行われ、1973(昭和48)年に世界で初めて半導体レーザーによるホログラムの記録・再生に成功した。

その後、光通信分野への半導体レーザーの応用を目指し、通産省(当時)の大型プロジェクト「光応用計測制御システムの研究開発」に参画、発振波長の異なるレーザーを同一基板に集積する集積波長半導体レーザーの研究を行った。このプロジェクトでは、波長多重(WDM)光通信用光源として1983(昭和58)年に5波長の集積を行い、世界的に高い評価を受けた。

一方、光ディスクの大容量化を目指し、当社は独自にInGaAlP赤色半導体レーザーの開発を進めていた。従来の音楽CD用レーザーにはGaAlAs赤外半導体レーザーが光源として広く使われていたが、光ディスク用には可視光線領域で発振する半導体レーザーが必要だった。そのため、まずレーザー半導体結晶成長技術に取り組み、有機金属気相成長(MetalOrganic Chemical Vapor Deposition)法と呼ばれる新しい結晶成長技術を使って、1985(昭和60)年に世界で初めて赤色レーザー室温連続発振に成功した。次に、デバイス作製プロセス技術では、光記録用光源の半導体レーザーに求められる出射光を微小スポットに絞る横モード制御構造を開発し、光ディスク用光源として使用できる高品質ビームを1986(昭和61)年に実現した。さらに、この横モード制御構造を実現した同年11月に、赤色半導体レーザーを用いたハイビジョン光ディスクの再生にも成功し、新聞発表が行われた。もちろん世界で初めて赤色レーザーを使用した光ディスクである。その後、1995(平成7)年12月に当社の主導した赤色レーザーを用いたDVD規格が発表され、翌1996(平成8)年には世界初のDVD製品化が実現した。

もう一つの応用分野は、バーコードリーダーである。既に赤色のヘリウム・ネオン(He-Ne)ガスレーザーが光源として使われていたが、同じ波長帯で小型・低消費電力の半導体レーザーに置き換えれば、POS(Point ofSales)システムの大きな市場が見込めた。He-Neガスレーザーの消費電力は10W〜数十W、半導体レーザーは0.1W程度であった。CD用のGaAlAs赤外半導体レーザー(波長780nm)では青いバーコードに対してJIS規格の反射率コントラストを満たすことができなかったが、InGaAlP赤色半導体レーザーの波長(670nm)はHe-Neレーザーの波長(633nm)にも近く、JIS規格を満たすことができた。このInGaAlP赤色半導体レーザーは特に米国において大きなPOS市場を開拓し、当社は一時期約90%以上を占めるトップシェアを獲得した。

横モード制御赤色レーザーの断面構造とデバイスシミュレーション例
横モード制御赤色レーザーの断面構造とデバイスシミュレーション例

赤色レーザーダイオード
赤色レーザーダイオード

関連リンク

1号機ものがたり一覧へ

学ぶ(ヒストリーサイエンス)トップページ

東芝未来科学館 〒212-8585 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地34 スマートコミュニティセンター(ラゾーナ川崎東芝ビル)2F

このページのトップへ