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世界最大の空気冷却水力発電機・ベネズエラの
グリU発電所

1978年(昭和53)に初号機が日本の工場で完成。
現地で組立・据付・調整後に詳細な性能試験が行われ、営業運転が開始されたのは6年後の1984年(昭和59)であった。

世界最大の空気冷却水力発電機・ベネズエラのグリU発電所

世界には、日本では考えられないほどの大河川がたくさんあり、その水力資源を開発する場合、経済性の点から水力発電機を出来る限り大容量化することが要求される。大容量の水力発電機の計画を検討するに当っては、発電機の損失熱を冷却する冷却方式ひとつを取ってみても、製作コストや保守コストなどを含め、空気冷却発電機で対応出来るか、または直接水冷却発電機にすべきかなど、メーカーと客先がそれぞれの立場で重大な判断を迫られる。 このグリU発電所の水力発電機は最大容量が805MVAという巨大な発電機で、かつ10台という大きなプロジェクトであった。その入札が発表されたとき、単独ではリスクが大きいため数社がグループを組んで応札することとなった。

当社は、日本3社(東芝、日立、三菱)と西独(シーメンス社)よりなる日本西独グループのリーダーとして、過去の実績が豊富な空気冷却案を提案した。これに対して、競合する欧米グループは直接水冷却案を提案した。客先は、この両案を比較検討して、コスト的にも性能的にも有利な空気冷却案を採用することに決定したが、リスク軽減のため5台ずつ日本西独グループとカナダグループの2グループに分割発注した。

これを受けて日本西独グループでは、発電機本体は垂直分業で製作することとし、5台のうち2台(初号機と最終号機)をリーダーの東芝が担当。他の日本2社と西独1社が各1台ずつ担当し、スラスト軸受、上部軸受周り、励磁装置、空気冷却機、ブレーキ・ジャッキなどの部品は水平分業とし、部品ごとの担当各社が5台分を纏めて製作した。

なお、本体が垂直分業であっても、客先の運転・点検・保守・補修の都合(部品の互換性など)を考慮して、あたかも1社で製作したような発電機をつくる必要があった。そのために日本3社で共同設計を行なってマスターショップ図面を作成し、これを忠実に守って各社が製造図面をつくるという手順で、コスト・性能・信頼性の点からも最適になるように万全を期してこの世界最大容量機を設計製造した。

定格は、極数64、容量700 MVA(60deg定格),805 MVA(過負荷定格)、回転速度112.5回転/分、電圧18 kV、周波数60Hz、力率0.9である。その大きさは、コンクリート風道内径19.3m、カップリングから風道までの高さ14m、回転子の外径と高さはそれぞれ 約13.6 mと4mという巨大なもので、重量的にも、固定子740トン、回転子1200トン、総合計2440トン、スラスト軸受荷重は2667トンという巨大な発電機である。

全ての部品は工場において部品毎の試験検査のみを行なって出荷され、他社製作分を含めて全ての部品は現地で組立・据付・調整が行なわれた。現地据付完了後、詳細な性能試験によって全ての保証値が満たされていることを確認した後、営業運転に入った。写真は現地ベネズエラのグリU発電所・水力発電機の組立完成後の回転子を示す。

1台目は1978年(昭和53)に工場完成し、現地ではダムの完成が遅れたため予定より2年遅くなったが、上記の組立〜試験の手順を踏んで、1984年(昭和59)に営業運転が開始された。空気冷却発電機としては現在でも世界最大容量機である。

グリU水力発電所の工場完成時の固定子枠
グリU水力発電所の工場完成時の固定子枠

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