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世界初のマイコン応用デジタルリレー

マイコンを使ったデジタルリレーの研究は国内外で盛んに行われたが、
当社が世界初の電流差動リレー装置として実用化。

世界初のマイコン応用デジタルリレーの画像

デジタルリレーに関する最初の論文は、1968(昭和43)年のアメリカのG. D. Rockfellerの論文とされている。当時はマイコン出現以前で、当社を含めて世界各地で大型プロセスコンピューターによる保護リレー演算の研究が行われていたが、装置規模が大きすぎることと演算速度性能面で現実的なレベルではなかった。しかし、マイコンの出現でデジタルリレーの実現性は急に増してきた。

1970年代後半は、電流差動保護方式が研究された時期である。電流差動保護方式は、送電線各端子からの流入電流の総和がゼロなら事故無し、ゼロでなければ事故有りと判定する高感度で信頼性の高い事故検出保護方式である。このための伝送方式としてアナログFM伝送と並んで研究されたのがデジタルPCM伝送である。PCM伝送を用いたデジタル電流差動方式では、各端子の電流瞬時値を同期してサンプリングしデジタル変換する必要があり、大変高度な技術が要求される。デジタル電流差動リレーは、PCMリレーと称して1970年代前半から基礎研究が行われていたが、数度のフィールド試験を経て、変電所の高電圧・大電流、多様な温度環境下においても、長期間高信頼度で保護機能を維持できる改良設計が加えられ、1980(昭和55)年には、当社による世界初の電流差動リレー装置として、東京電力275kV梓川線に適用された。

PCM電流差動リレーは高度な脱調検出機能を内蔵していることも大きな特徴である。一部の発電機が系統との同期を維持できずに脱調した場合、発電機の位相が180°反転したタイミングで、電力系統のどこかの点で電圧がゼロになる。この点を脱調中心と言い、脱調が発生した場合、脱調中心で系統分離することで発電機の安定運転を継続できる。PCM電流差動リレーでは、伝送された相手端子の母線電圧位相情報を使って線路両端の電圧位相を直接比較することができ、両者の位相が180°反転したことにより、脱調中心が線路に入ったと判定することで、確実に脱調中心で系統分離させることができる。

このように、PCM電流差動リレーは、電圧位相比較による脱調検出機能、伝送データの誤り検出能力など、FM電流差動リレーでは容易に実現できない機能を持っている。現在では全国の超高圧の基幹系統から66kVの低位系統に至るまで、最も信頼される送電線保護方式としての地位を確立している。

PCM電流差動リレーで始まったデジタル形保護リレーは、その後、同じ1980(昭和55)年に導入された66kV八日市場線の回線選択保護リレーをはじめとして、適用が徐々に拡大してきた。しかし、第1世代のDI形デジタルリレーは、バイポーラ形素子を採用していたことにより発熱の問題があり、特殊なヒートパイプを使って発熱の課題を解決していた。演算素子の進歩は目覚ましく、その後数年で発熱が少ないMOS形の高速演算素子が出現した。これにより、デジタルリレーはMOS形を使った東芝における第2世代DUシリーズの時代へと移っていき、DUシリーズが開発された1985(昭和60)年以降、デジタルリレーの適用は全国で飛躍的に伸びていき、保護リレーの主役となった。

世界初のデジタル電流差動リレー
世界初のデジタル電流差動リレー

第2世代デジタルリレー
第2世代デジタルリレー

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