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日本初の全身用X線CT装置

頭部用から全身用へ。
将来を見据えた開発プロジェクトにより、世界最高レベルのCT装置メーカーに。

日本初の全身用X線CT装置の画像

CT装置は1972(昭和47)年に世界で初めて英国のEMI社から発売され、手術なしで頭内部を鮮明に観察できる点が高く評価され、瞬く間に全世界に普及した。このCT装置を発明したハンスフィールド博士とコーマック博士は、後にノーベル医学賞を受賞している。

当初は撮影に数分かかり、呼吸などで動きのある腹部には適用できず、頭部専用であった。当社は、EMI社と販売契約を結び、1975(昭和50)年に日本初の頭部用CT装置を東京女子医科大学に納入した。

CT装置は1台数億円と非常に高価で、当時日本での市場規模は100台程度との見方をする人もいた。しかし、開発者たちはCT装置の将来性を高く評価し、頭部だけでなく全身が撮れるものができれば、さらに広く普及するであろうと考えた。そこで当社は、1975(昭和50)年に技術者を結集して全身用CT装置の開発プロジェクトを発足させた。頭部用に関してはEMI社製CT装置の販売サービスなどを通じそれなりのノウハウもあったが、全身用となるとその原理や構造はまったく別で、技術者たちは原理の勉強から始めた。そしてサブユニットを一つ一つ作り始め、3年後の1978(昭和53)年に日本初の全身用CT装置「TCT-60A」が国立がんセンターの4階に据え付けられた。

当時のCT装置は現在よりも大きく、階段やエレベーターでは搬入できず、部屋の窓をはずして、クレーンで吊り上げ搬入した。そして実際に臨床で使用してもらいながら、臨床データの収集を行い、病院の指導の下で画質の向上などさらに改良する努力が続き、昼夜を問わず対策を実行した。その結果、当初はあまり鮮明でなかった画像が鮮明になり、アーチファクトとよばれる、実際には人体にはないのに、人工的に作られてしまう偽像が解消され、頭部ばかりでなく、腹部も数秒で撮れる全身用CT装置として完成していった。

さらに、技術開発の進歩により、全身用CT装置が頭部専用CT装置を凌ぐようになり、今やCT装置はすべて全身用となっている。全身用CT装置の開発は非常にハードルが高かったものの、開発当初から将来を見据えて全身用CT装置の開発に取り組んだことで、CT装置としては後発であった当社が、その後の開発競争に追いつき、追い越して今や世界最高性能のCT装置を供給する会社になることができた。

当社が持つヘリカルCT特許が新しいCTの世界を広げ、今や数秒で心臓が3次元的に描写できるCT装置が医療の現場で活躍している。

*ヘリカルCT:X線管を高速で連続回転させながら患者を撮影し、らせん状に撮影データを連続収集する方式。従来のCTと比べて短時間に広範囲の撮影ができる。

EMI MK–1 CTスキャナーの歴史を飾る英国EMI社製頭部用CT
EMI MK–1 CTスキャナーの歴史
を飾る英国EMI社製頭部用CT

最高級頭部用CT(TCT–10A)
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