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世界初の家庭用単管式カラーカメラ

世界初のヘリカル方式VTRが、
周波数インターリーブ撮像管の生みの親となった。

世界初の家庭用単管式カラーカメラ

今では家庭用のカラーカメラは高画質の動画像を撮影するビデオカメラとして、手軽で便利なものになった。しかし世界で初めて家庭用のカラーカメラを開発した当時(1970年代)は光の信号を電気信号に変換するための撮像管との苦闘の連続であった。

その時代、高価なカラーカメラは主に放送局で使われており、その応用分野として教育用、医療用などで一部が使われていた。これらのカラーカメラは被写体からの入射光線を光の3原色(赤・緑・青)に分解する光学系のフィルターを通して3本の撮像管を使う3管方式が主流であった。この3管式では赤・緑・青の3色画像を正確に重ね合わせる調整技術が大変な作業で、その上高価な撮像管を3本も使うため、家庭用として普及させるには著しく困難であった。

この撮像管の数を減らして、1本でカラー画像が取り出せれば理想的で、その一方式として周波数多重方式が考えられた。これは2種類の色ストライプフィルターのピッチを変えて配列させ、赤と青の色信号を周波数多重で取り出そうとするものであった。これには、高解像度の撮像管が必要になり、一部の業務用に使われたが、家庭用に広く普及するには至らなかった。そこで考えられたのが周波数インターリーブというアイデアで、色ストライプフィルターを走査線方向に対して、斜めに配置するというものであった。

当時の総合研究所では、澤崎憲一博士を中心に映像信号をテープに記録するために、斜めドラムのヘリカル方式VTRが発明され世界トップレベルの開発が行われていた。

このヘリカル方式VTRに倣って、カメラでも走査線ごとに位相が変われば良い、それには色ストライプフィルターを走査線に対して斜めに配置し、周波数インターリーブを採用すれば良いではないかとのアイデアである。こうすることで、輝度信号と周波数を共有でき、さらに二つの色信号も周波数インターリーブの関係に保てば、色信号同士で周波数を共有できる。単に周波数領域だけで赤青信号を多重していた撮像方式に比べて、周波数帯域を効率よく利用できる画期的な方式であった。

次なる開発は、この撮像管を量産化するために、色ストライプフィルターを撮像管に内蔵したことである。当時、カメラの信号処理の電気回路はほとんど半導体化されていたが、撮像管だけは電子管が使われていた。いわゆる真空管で、その特性は温度と経時変化で、まるで生き物のように変わってしまう。その上、管によって特性が微妙に違うので、カラー画質を安定に保つのは大変難しい作業であった。ビデオカメラを家庭用に普及させるためには、設計手法から従来の概念を一掃する必要があった。またコスト削減も重要な要素となった。このため、特別プロジェクトが結成され、開発、設計、量産製造技術の開発に取り組んだ。こうして、1973(昭和48)年夏に量産化のめどがつき、1974(昭和49)年に世界初の家庭用単管式カラーカメラ(IK-12)を製品化した。

色ストライプフィルター内蔵撮像管(E5280)
色ストライプフィルター内蔵撮像管
(E5280)

単管式カラーカメラIK-12の製品カタログ
単管式カラーカメラIK-12の製品カタログ

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