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世界初のセットフリー形(可搬形)
ルームエアコンの開発

ボール紙モデルで検討開始。
事業部長宅での実用テストで水浸し事件発生。

世界初のセットフリー形(可搬形)ルームエアコンの画像

1965(昭和40)年、小型クーラーの販売台数は業界全体で10万台程度であった。当時、テレビ、冷蔵庫、洗濯機はほぼ普及が終わり、次はクーラーの番だと言われながら目覚ましい普及には至らなかった。なぜクーラーは他の家電製品と同じように急激に伸びないのか、阻害要因を検討した結果、据え付け場所の選択が可能で据え付け費用が不要なシーズンオフ(当時は全て冷房専用タイプ)時に移動ができるエアコンがあれば飛躍的に販売が伸長するのではないかとの考えから開発をスタートした。

水を使った凝縮熱交換器の選定から始まり、熱排気のためのホース、水を循環させるためのポンプ、理想的な部品の配置の検討など、何もかもゼロからの開発であった。全体が室内に納められるため一般の家具と同じような感覚でデザインし、製品を移動しやすくする検討のため敷居の寸法、レールの寸法、じゅうたんや畳の仕様などの調査も行った。貯水タンク、排気ホース、キャスターや取っ手の選定などで退社後や休日にはデパートや金物屋めぐりを行った。第1次試作ではボール紙を使ったレイアウトモデルを作り設計者のイメージ作りに役立てた。

1966(昭和41)年の夏に第1次試作品による実用テストを実施した。製品的には未熟であり、事業部長宅では部屋を水浸しにするという事件を起こした。また「音がうるさい」という指摘や冷却水がなくなったときにコンプレッサーを自動的に停止するスイッチの不動作など、多くの問題が発生し、対策のため実用試験を実施していた事業部長宅を飛び回った。このときに、多くの課題に対応しながら得られた知見は「今後の日本家屋向きのエアコンとして十分存在価値がある」との確信だった。

問題点の解決とコスト改善のため再設計した試作品を1967(昭和42)年夏に2回目の実用テストを行い、得られた意見を設計に織り込むプロジェクトチームをスタートした。水中に含まれる物質が蒸発残留物として貯水槽と銅管表面・送水用ホースなどに大量に付着することに対する解決および水あか洗浄剤の研究や掃除をしやすくするための構造検討などに注力した。1968(昭和43)年5月7日に500台の量産を実施した。従来のエアコンの常識を破るエアコンとして新聞やテレビに取り上げられたことは同業他社へ大きなショックを与えた。1969(昭和44)年に12,000台、1972(昭和47)年に80,000台を突破、当社はこの分野で5年間独走した。

この水冷セットフリーエアコンは1970(昭和45)年4月に日本電機工業会から技術功績者表彰(進歩賞)を受賞した。さらに、この水冷セットフリーエアコンの欠点である水の補給や水あか問題を解決した空冷セットフリーエアコンを1973(昭和48)年3月に量産開始した。この空冷セットフリーエアコンも、1974(昭和49)年4月に日本電気工業会から技術功績者表彰(進歩賞)を受賞した。

セットフリーの取扱説明書
セットフリーの取扱説明書

後継機種
後継機種

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