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日本初の真空スイッチと縦磁界電極で大容量化

当社のプラズマ研究から「縦磁界電極」の発見があり、
「真空遮断」が受配電の分野で世界の標準遮断器となった。

日本初の真空スイッチの画像

電流の開閉に使う遮断器や開閉器では電流遮断時に接点間でアークが発生するが、それを消すために油、高圧空気、SF6ガスなどの消弧媒質が用いられてきた。これらは燃えたり、遮断時に耐え難い音がしたり、地球環境への悪影響などの欠点があった。当社は、真空中で電流を遮断する真空遮断技術が理想的であると考えて独自に開発を開始した。1965(昭和40)年、日本で初めて真空中で電流を遮断する真空スイッチ (7.2kV100A)の製品化に成功した。

真空遮断の原理は19世紀末イギリスで特許になっているが、第2次世界大戦後までは実用化できなかった。戦後、米国GE社がこの技術にチャレンジしてから、各社で競ってその実用化に注力したが、技術的に解決しなくてはならない幾つかの問題を抱えていた。技術者たちはこれらの問題点を一つひとつ確実に解決していき、最後に残ったのが遮断性能の不足であった。いろいろ工夫しても、30kA程度しか遮断できず、適用範囲に限界があり、期待に反して「とても使い物にならない」という評価になりつつあった。何とか遮断性能を向上させようと必死の努力を続けている技術者たちに、1972(昭和47)年に朗報がもたらされた。当社研究所でのプラズマの磁気制御の研究や電流遮断時のアーク現象を直接観測できる装置を使った研究などの成果として、電極自体にコイルを取り付けアークと平行に強力な磁界を加えて、荷電粒子を磁界中に閉じ込め、電極全体に平等に分散させると、遮断性能が飛躍的に伸びることが分かった。

これで立ちはだかっていた障害は除かれ、さらにこの「縦磁界電極」を使って200kAの大電流遮断に成功したという試験結果を当社が発表した時には、今までこの技術に否定的だった欧州の学会は仰天し、遮断技術開発のかじを真空遮断に大きく切ることになった。今では真空遮断器は中圧(3kV〜70kV)級のすべての用途に適用できるようになり、1981(昭和56)年に開発した定格電圧13.8kV、定格電流3,000A、遮断容量2400MVA(遮断電流100kA)という世界最大の真空遮断器VGB2-10Q240は世界的な反響を呼び、共同開発会社の電源発株式会社と共に電気学会進歩賞を受けた。さらに縦磁界電極を使うと真空バルブを小型化できるためコストダウンが図られ、一般需要家で用いられていた廉価、小型の油遮断器に取って代わる小型で手動操作できる汎用真空遮断器を業界に先駆けて開発し、建設大臣賞を受賞した。さらなる適用範囲の拡大に向けて高電圧化の研究も盛んに行い、核融合設備JT-60用に開発した直流用真空遮断器(44kV-130kA、開閉寿命4,000回)の技術は、従来気中遮断器の独壇場であった電鉄用直流遮断器の真空化にも応用されている。

VGB2-10Q240
VGB2-10Q240

縦磁界真空バルブ
縦磁界真空バルブ

縦磁界電極上に分散したアーク
縦磁界電極上に分散したアーク

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