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日本初のマイクロプログラム方式
コンピューターの開発

演算速度は他のコンピューターに比較して数百倍。
その圧倒的な速さに当時の京都新聞に驚きの記事。

日本初のマイクロプログラム方式コンピューターの画像

1961(昭和36)年、当社は京都大学と共同で「新方式電子計算機」の開発に取り組み、パイロット計算機を完成させた。京都大学の頭文字“K”と東芝の“T”を組み合わせて“KTパイロット計算機”と名付けられた。この計算機には、国産のコンピューターとしては初めて薄膜記憶装置を実装した。また新しく開発したシリコンのメサ型トランジスターを採用した高速度基本回路を用い、並列非同期式高速演算方式を採用した。

この「新方式電子計算機」とは、日本初のマイクロプログラム方式コンピューターで、電子計算機の命令体系を自由に変えて、種々の目的に従った電子計算機システムを一つのハードウェアで実現しようという試みである。このマイクロプログラム方式はイギリスのケンブリッジ大学数学研究所(後のコンピューター研究所)のモーリス・ウィルクス博士が1951(昭和26)年に提唱したもので、高速な固定メモリー(ROM)の上で特殊化されたプログラムを使いコンピューターの中央処理装置(CPU)を制御するという考え方を発展させたものである。現在では一般化している固定メモリー(ROM)による電子計算機制御の最初であった。

しかも、この固定メモリー(ROM)を可変にするという考え方で、マイクロプログラム用の固定記憶装置はダイオードによる記憶装置を用い、可変記憶装置としてはパッチボード方式およびフォトトランジスター(光センサー受光デバイス)による独自方式を用いた画期的なものであった。

このKTパイロット計算機は非同期方式で、通常の一定周期のクロック信号を持たず、代わりにマイクロ命令ごとにそのマイクロ命令の実行時間を指定するビットを持たせている。そこで指定されたビットに対応する遅延線の出力を感知することによって、そのマイクロ命令の実行を終了し、次の命令に移るという制御方式を用いた。

当社が開発したシリコンのメサ型トランジスターを使った高速基本回路と非同期制御方式の採用によって、その当時のコンピューターに比較して1桁以上の高速演算を実現していた。特に、自然対数の底eや円周率πの計算では可変マイクロプログラムに演算用のマクロ命令を追加することで、演算時間を大幅に短縮することができた。

1962(昭和37)年8月、当時の西独ミュンヘン市で開催された情報処理国際連合(IFIP)の会議で、この研究成果を発表した。すると、IBMがSystem/360を発表する前でもあり、世界最高速の電子計算機として高く評価された。1963(昭和38)年12月15日付けの京都新聞には、その圧倒的な演算速度に驚嘆した記事が掲載された。その後、KTパイロット計算機を原型として、科学技術用の大型汎用計算機TOSBAC-3400が開発された。

現存するKTパイロット計算機の一部
現存するKTパイロット計算機の一部

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