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日本初のトランジスター式テレビを開発

当時は困難とされていたテレビのトランジスター化に挑み、
東芝製の純国産トランジスターで夢を実現。

日本初のトランジスター式テレビの画像

1953(昭和28)年にテレビ放送が開始されて以来、テレビ受像機には真空管が使用され、テレビのトランジスター化は困難とされていた。当時のトランジスターはラジオに使えても、テレビに使用するには高周波特性や耐圧が低く、また扱える電力が小さいなど真空管と比べ性能が不十分であったからだ。真空管もトランジスターも電子が主役の能動素子だが、結晶中の電子を扱うトランジスターは半導体という物理学的な基礎研究からトランジスター構造の細かい作り方までの技術革新が必要だった。点接触型から始まったトランジスターは合金型、成長型と進展し、信頼性と再現性(歩留まり)という条件をクリアした「使いものになるトランジスター」つまり拡散法によってベースの厚さを薄くしたメサ形(スペイン語で台地)トランジスターの登場によって、テレビのトランジスター化の機運が高まってきた。

当社はさまざまな課題を克服し、1959(昭和34)年に日本初のトランジスター式テレビを開発した。ブラウン管には90度偏向8型(20cm角型)を使用し、高圧整流管の他は全てトランジスター化し、ダイオードを含め32石全て東芝製の純国産トランジスターを使用した。電源は22Vと6Vのバッテリーを搭載し、消費電力は真空管式テレビの約1/3の30Wを実現し、重量もトランス付き受像機の半分(14.5kg)と小型軽量化を図った。トランジスターは、100MHz近辺の周波数で十分使用可能な高周波特性を改善したVHF用トランジスターを開発した。また、大きな電力を必要とする水平偏向回路のために、高耐圧大出力トランジスターを開発した。さらにトランジスターの開発と平行して偏向電力を軽減するため、新たな受像管、回路、部品を開発した。1959(昭和34)年3月4日、東芝本社(当時の銀座ビル)で社外発表した。その当時、米国ではモトローラ社およびGE社のみが前年に試作発表していたが商品化はされておらず、当社の技術力の高さと先進性を世界にアピールした。

さらに1960(昭和35)年には高圧整流用のシリコン整流器を開発し、ブラウン管以外を全て半導体化した国産初のオールトランジスターテレビを開発した。このオールトランジスターテレビのブラウン管アノード(陽極)には、一般の受像機と同じように水平出力回路で発生するパルス電圧を利用している。高圧発生トランスによって約40倍に巻き上げ、特別に開発したシリコン整流器2本を使って倍電圧整流して6kV、100μAを得ている。従来のトランジスター受像機では高圧整流は真空管を使用しているが、このセットは特に開発したシリコン整流器(M8317A)を使用し、全半導体化受像機を実現した。またこのセットは交流電源100Vと直流電源12Vでの使用が可能で、交流で使用する場合の電源トランス、整流器などを全て内蔵し、交流電源で電池の充電にも使用できた。

画面に映ったテスト映像
画面に映ったテスト映像

読売新聞の記事(1959年3月5日朝刊):(社)日本新聞協会 新聞ライブラリー所蔵
読売新聞の記事(1959年3月5日朝刊):(社)日本新聞協会 新聞ライブラリー所蔵

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