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第1回  2014年10月12日(日)

「空気の力!空気はじつは力持ち」のひみつ

【東京大学サイエンスコミュニケーションサークルCAST】加賀谷 司先生

 今日の科学実験工房は、大学生を中心とするサイエンスコミュニケーションサークル、通称“東大キャスト”のメンバー5名による大気圧の教室。
 派手な破裂のパフォーマンスから始まった今日の工房は、大気圧の法則について体感する教室の繰り返しで大盛り上がり。
 1度手を入れると引き抜けないペットボトルや、ビンの中の空気を抜いて巨大化したマシュマロには大人も子供も目が釘付けでした。
 講師の加賀谷先生とキャストメンバーにお話をうかがいました。

東大CASTのひみつ メンバーのひみつ ひみつのエピソード ひみつのオススメ理科・科学 今日の工房 舞台ウラ みらいの工房

東大CASTひみつ

東大CASTはどんな団体ですか?改めて教えてください、加賀谷先生!

加賀谷先生(以下 加):キャスト、CAST、それは頭文字をとっていて、Communicators of Science And Technologyの略です。「サイエンス・コミュニケーション」の定義自体、最近生まれた言葉なので人それぞれに思うことが違うと思いますが、東大キャストの場合は、身近な科学・身近な現象にもいろんな科学が隠されていて、それを授業で聞いているだけではなく、目の前で面白い実験を見せたり工作したりして、面白さだけでなく実験を理解する面白さも感じてほしい―という目標があります。

関東にかぎらず幅広い地域で教室を開いているキャストさんですが、今日は5人のメンバーがきてくれてます。全体でキャストのメンバーはどれくらいいるんですか?

加:全体で80名くらいいると思うんですが、上の先輩たちは学科の勉強が忙しくて(*1)、あまりかかわれなくなる場合が多いのです。主に1・2年生、1学年30人ほどなので、そうですね、実働は50名くらい。

(*1)キャストの本拠地である東京大学では、3年生になるとそれまで通っていた駒場キャンパスから本郷キャンパスに場所移すのでキャストの部室がある駒場での活動が難しくなるという。

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メンバーひみつ

先生がキャストに入ったのは1年生の4月からで約1年半経ちます。みなさんから見て加賀谷先生ってどんな先生ですか?

今井松先生(いまいまつ):彼は大気圧の実験が大好きなんです(笑)。それから去年の駒場祭では電気と磁石を使った実験を通称「見えない力」というものをやっていました。そういう実験が大好きなんです。

加賀谷 司先生の写真

「見えない力」は今年の夏に科学館で開催されたサイエンスリンクでも披露してくれたショー演目。キャストの活動の中でも自分の関心を活かしているんですね。

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ひみつエピソード

キャストに入ろうと思った大きな理由はずばりなんでしょう。

加:僕はもとから工作が大好きだったんですが、理科はもとから好きだったわけではない。サークルには、作ってコンテストに出すようなすごくガチなサークルもありました。それも面白そうだけど、僕の中では“身近なもので簡単に工作できる”というコトが本当に昔から好きで。それに、人に教えることも好きなので、今も塾のバイトをしているんです。自分で実験を作るのも好きだし、しゃべるのも好きだし、教えるのも好きだし・・・ぴったりだなと思って、それでキャストに入ることを決めました。

では小さい頃から工作教室に通ったり学校の授業でよく工作してたんですか?

加:ぜんぜん通っていない(笑)。学校も違うかもしれない。

あれ?じゃ加賀谷少年はどこで工作にハマったんですか?

加:家ででたゴミを使って、乳製品の空きカップとか、割りばしとか、あと・・お正月にくるくるまく・・伊達巻の・・

メンバー:マキス?

加:そう、巻きす!すだれ状になっているやつが楽しくて。あと、テレビ番組で「つくってあそぼ」(教育テレビ,1990-2013)っていうのがあって、それの影響をすごくうけました。志すきっかけは?と聞かれたら、「つくってあそぼ」だって答えてます。

学校の自由研究も、きっと力作を作っていますよね。

加:あんまり・・そういうのはやっていっていない。でも科学や物理の実験が、小学校のときから見た目も面白くて好きでした。内容も専門的になってきたのが本当に楽しかった。

それだけいろいろ作ってたら、友達に“それすごいね、教えて!”とか言われませんでしたか?

加:正直、それをすごいなって思うのは僕くらい(笑)。小学校1年生のときにティッシュの空き箱に割りばしをさして、ヤクルトの空きカップをタイヤにしたものとか。その頃くらいから工作を始めたので・・・

「「見えない力ブース」で使用した電気自動車の模型」のイメージ

思い出の工作はゴミで作ったミニカーということですね。ところで・・・なんで「巻きす」に惹かれたんでしょうね?

加:うーん、今の僕には理解できない!(笑)「巻きす」それ自体が面白かったんでしょうね、あと、1年に1回(正月の時期に)しか手に入らない特別感が良かったのかもしれない。

なるほど、たしかにそう考えると貴重なアイテムです、巻きす。そうした小さい頃の工作の思い出や楽しみ方は、今の活動にも通じているんですか?

加:そうですね。昔は自己満足だったのですが、今は新しい実験を考えるだけで実験教室の幅が広がりますし、子供達も喜んでくれていい活動場所が見つかってよかったな―とずっと思っています。今でもやりたいことはすべてぶつけています。

ひみつのオススメ理科・科学

― ここでちょっとブレイク!普段はキャストの活動のため、そして自身の勉強のために「超伝導の応用理論」など専門書を読むことが多いという加賀谷先生。いま、子供たちに読んでほしい理科・科学読本(リカドク!)を紹介してもらいました。なんといっても、10月26日にはキャストから本も出るんだそうですよ?

おすすめ(1)
キャスト監修「現役東大生が知っている科学トリビア」
(粟津恵里ほか,エネルギーフォーラム社,2014)
おすすめ(2)
キャスト執筆協力:「長沼毅の世界は理科でできている」
(長沼毅,ほるぷ出版,2014)

加賀谷先生からのリカドク・ヒトコト

子供たちがもっと理科を楽しむための本について、一言お願いします。

加:小学校の理科便覧だと、いい意味でも悪い意味でも教科書チックで、受験のためにしか作られていない。なかなか身近なものを扱っているとは限らない。雲のでき方とか虹のでき方とか、そういった身近なものについてもあまり載っていない。大気圧だって、本当に高校の物理でちょっと出てくるくらいで、(小学生向けの)教科書には載っていない分野なので、もっと身近なものが載っている本を読んでくれると、もっと理科が楽しくなるんじゃないかと思います。

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今日の工房 舞台ウラ

つづけて実験工房のひみつを聞かせてください。キャストは毎回、今日の工房でも演示(実験ショー)と工作がどちらも必ずありますよね。
その割合や時間は、どんなふうに決めていますか?

加:他の場所で行う実験教室だと、70分の教室で工作1つと実験をやっています。東芝未来科学館の科学実験工房は90分だから、もう1個増やせばちょうどとか、どこをきってどこを増やすか、というのをぎりぎりまで考える。

教える子供たちの学年の違いによって注意していることはありますか?

加:基本的にキャストの対象は小学生が多いけど、1番下だったら乳児から1番上はシニアまで、どの年代にも対応できるようにしています。学年によって、体積が“増える”って言うのか(かさが)“増す”って言うのか、“大きくなる”や“縮められる”って表現を使うのか。それは司会(講師)が常に臨機応変に対応していきますね。

今回の大気圧の教室で特に工夫した点をおしえてください。

大気圧の実験は、派手さなんですよ。ラップで音立てたり、ポコっと音をたてたり、重りをつりさげて耐えられるか・・といった派手な実験が多いけど、原理はほとんど1つだけなんですね。最初は気をひいて、次はその身近に感じる工作をいれて、マグデブルグ(原理の名前)で吸い付くものの実験を見せて、吸い付いたぞ、じゃあその吸い付く系の工作を1個もってきて・・って感じで、実験自体の1つ1つの工夫というよりは全体の流れに気を付けます。

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みらい工房

最後に、キャストのみらいと加賀谷先生のみらいについて、今考えていることを教えてください。もし、大学を卒業したら、キャストのような活動は続けていきたいですか。

加:<加賀谷先生のみらいについて> 大学院に進んで企業に進む、ということがあったとしたら、こういう実験教室を開く機会はないかもしれないけど、僕は電気系の大学にいくかもしれないので、携帯とか、人間が使う道具をいっぱいつくると思うんです。そのときプレゼンなどで、説明するときも専門家だけがわかるように言ってもだめだと思うんです。使う人がわからないとだめだと思う。そこでキャストと同じように、すごい技術がつまったものを、専門家だけで共有するのではなく、簡単にどういう仕組みになっているか使う側にわかりやすく伝えるというキャストの根本的な部分はこれからも使っていくと思います。

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さいごに…

加賀谷先生、キャストのみなさんにたくさんのひみつを教えてもらうことができました。最後に、ヒミツ・ダイスの1面に工房に参加する子供たちに向けてのメッセージを書いてもらいました。

「理科、面白くない?」by 加賀谷司

2014年10月12日

 ぼくは理科っていうのが、勉強の為という意識がつよい。逆にそれ以外に理科に接する機会が少ないんじゃないかと思うんです。たとえば理科系に進むにしても、理科に触れるきっかけが少なければいかないと思う。たとえばお母さんお父さんがピアノをやっていたから、やり始める。すごく身近にあったから、やり始めた。そういうきっかけがまだまだ理科には少ないと思う。勉強でやだなあ、と思うと思う。なので、僕たちの活動が理科を身近に知るきっかけづくりになったらいいなというのが目標です。そのためにも、難しい内容をわかりやすく伝えていくことが重要だと思います。

インタビューに協力してくれたキャストのみなさん、ここまでお読みいただいたみなさんありがとうございました。次回もお楽しみに!

関連リンク

東芝未来科学館 〒212-8585 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地34 スマートコミュニティセンター(ラゾーナ川崎東芝ビル)2F

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